みなさん、はじめまして。今回から毎月20日のコラムを担当するパリラボスタッフの秋田です。このコラムでは折々の弊ラボとシェフフェルデールの様子をお伝えしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、「パリからの手紙」なのに、初回からいきなりパリ以外の話題です(!)。私たちはパリ6区にあるラボのテストキッチンで、シェフフェルデールとともに日々お菓子の開発をしています。しかし時々、新しいケーキのアイデアを求めてキッチンを飛び出し、シェフとスタッフが連れ立ってパリ市内のパティスリーやカフェを視察したり、マルシェへ旬のフルーツを仕入れに行ったりすることがあります。そして昨年末には、それをスケールアップさせてフランスを飛び出し、お隣のベルギーを視察するツアーを計画しました。ベルギーの首都ブリュッセルまではパリから高速鉄道タリスThalysで約1時間30分、思いのほか近いのです。
ブリュッセルはチョコレートの街。今回の主目的はブリュッセル市郊外にある某チョコレートメーカー訪問で、製菓材料として使用するクーベルチュールチョコレートの工場見学をしました。しかしその他にも、市中心部に数多くある老舗ショコラトリー(チョコレートショップ)巡りや、ベルギー伝統のお菓子、ワッフルやスペキュロス(スパイス風味クッキー)の調査もしなければと、ツアーのスケジュールは盛りだくさんだったのですが…。私たちがブリュッセルを訪れた日、北ヨーロッパにはこの冬最大の寒波が到来し、街中はあっという間に雪景色。交通機関も麻痺するほどで、寒さに震えながら予定の軌道修正をしつつ、ショコラトリー巡りをする羽目になってしまいました。
しかしヨーロッパの景色には厳しい冬がまたよく似合うのです。ここブリュッセルでもその雪が素晴らしい舞台装置となり、美しい街並みを見ることができました。特に、ブリュッセル観光の拠点となる広場グラン・プラス、かつてフランスの詩人ジャン・コクトーが「絢爛たる劇場」と讃えたそうですが、ちょうどクリスマスシーズンで夜はライトアップされており、雪化粧とあいまって、その言葉にたがわぬ壮麗な空間が演出されていました。
さあ、肝心のチョコレートです。ベルギー式のチョコレートは「プラリネ」と呼ばれ、型を使ってカバー部分を先につくり、後からセンターに詰めものをするのが主流。それとは逆にフランス式のチョコレートは、先にセンターをつくり、後から薄くカバーをかけます。食感の繊細さや口どけの良さなどから、最近ではフランス式の製法のものが好まれるようになり、日本でもフランスのショコラティエが中心勢力になってきています。ここ本場ブリュッセルでもそれは看過できない流れで、ベルギー伝統の製法は大事にしながら、薄くカバーをつくるようにするなど、現代的な嗜好にあわせてプラリネも変わりつつあるようです。

またチョコレートの他にも、今パリのパティスリーではスペキュロスをフレーバーとして取り入れたケーキに流行の兆しが見られるのですが、そのルーツとなる現地のクッキーや、名物のワッフルを試食したりするなど、スタッフにとって充実したツアーになりました。そう遠くないうちに、このベルギーでの思い出を取り入れたケーキが日本のショーケースに並ぶかもしれません。


